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「足のつけ根が痛い」とお悩みの方

足のつけ根にある「股関節」を傷めると、普段当たり前のようにしている「足を動かす」ことや「歩く」ことが難しくなります。
「足が開きにくい」、「歩くと足のつけ根が痛む」などの症状がある方は、股関節に問題が生じている可能性があります。

そのまま生活を続けることは、更なる悪化につながりかねません。早めに受診していただき、ご自分の股関節の状態を確認することをお勧めします。

「変形性股関節症」

正常な股間節・変形性股関節症の画像

足のつけ根にある股関節に痛みを生じる代表的な病気が「変形性股関節症」です。

股関節の痛みや動く範囲の制限とともに、股関節の骨が変形してしまうことが特徴です。

このような方はお気をつけください

  • 足のつけ根が痛い
  • お尻のあたりが痛い(だるい・重い)
  • あぐらの姿勢で座りづらい
  • 膝を抱えても膝と胸が着かない
  • 足のつけ根のあたりでコリコリ音が鳴る
  • 足の長さが左右で違う

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変形性股関節症の進行過程

前期
前期
股関節の発育不全あり
初期
初期
股関節の軟骨が減り始めている
進行期
進行期
軟骨が減り、
股関節の形が変わり始めている
末期
末期
軟骨が無くなり、
股関節の形が完全に変化している

変形性股関節症の原因

変形性股関節症の原因は、一言ではとても表せません。多くの悪い要因が重なって進行する場合が多いです。

以下に、「原因」として考えられる代表的なものを挙げます。

  • ①股関節の発育不全

    変形性股関節症の原因として、幼少期の股関節の骨の成長が十分ではないことが挙げられます。これを「臼蓋形成不全」と呼びます。

    正常の股関節に比べて、臼蓋形成不全の股関節は骨盤の屋根のかぶりが浅く、体重がかかる際に負担が局所に集中しやすくなってしまいます。

    その分、股関節の軟骨も傷みやすく、注意が必要です。 ただ、形成不全だからと言って、必ず変形性股関節症が進行するとは限りません。危険因子の1つと考えてください。

  • ②股関節の炎症

    何らかの理由で股関節を傷めた際には、関節内に「炎症」が起こります。この股関節の炎症が続くと、「軟骨を分解してしまう酵素」が関節内に多く分泌されることが研究で分かっています。

    「安静にしていても足のつけ根が痛い」ということは、股関節に炎症がある証拠です。

    できるだけ早く股関節の炎症(痛み)を治すことが、変形性股関節症の進行の防止になります。

  • ③肥満

    体重が増えると股関節への負担が大きくなってしまいます。1㎏増えると歩くときの負担は4倍(4㎏増)になります。

    日常生活での負担が大きいと変形性股関節症が進行しやすいと言えます。

  • ④重労働

    重たい物の持ち運びや階段の昇り降り、床の立ちしゃがみなど股関節への負担が大きい動作を続けることはあまり良くありません。

    特に、股関節に痛みのある状態で重労働を行なっていると、変形性股関節症の進行を早める危険性があります。

  • ⑤筋肉の硬さ

    股関節に最も負担をかけるものは、「筋肉の硬さ」という研究報告もあります。

    その筋肉の中でも「お尻の筋肉」が一番の問題です。変形性股関節症の方で、お尻の筋肉が硬くない人はほとんどありません。

    「筋肉を柔らかくすること」が保存療法においては大切です。専門の理学療法士の指導を受けて、股関節の状態に合った方法を続けるようにして下さい。

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変形性股関節症の予防

変形性股関節症の発症を予防するためには、その原因となる悪い要因をいくつも重ね持たないことです。

「股関節の発育不全」をお持ちである場合、股関節の痛みや関節の動く範囲の制限が生じやすく、
そのままにしていると変形性股関節症が進行する恐れがあります。

まず自分が「股関節の発育不全」を持っているかどうかを知ることが予防の第一歩です。

このような方はご相談ください

  • 乳児期に股関節脱臼であった
  • 乳幼児健診で股関節の異常を指摘されたことがある
  • 乳幼児期にギプス治療などを受けたことがある
  • 家族や親せきが変形性股関節症である
  • あぐら姿勢をすると足が開きにくい(左右差がある)
  • 運動すると足のつけ根が痛い

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早期発見・早期治療が大切

股関節の痛みを長く抱えることは、生活に支障があるだけでなく、変形性股関節症が進行する恐れがあります。

一度、失われた軟骨やきれいな骨は、再び元の状態に戻すことは困難です。股関節に痛みがある場合は、すぐにご相談ください。

「股関節の痛みの原因は何か?」あらゆる観点からしっかりと調べます。

知らないうちに起こっている身体の変化、日常生活の習慣、お仕事や趣味、普段の姿勢などの中に、痛みの原因が隠れている場合があります。

お一人おひとりの特徴に見合った股関節のお手入れの方法や日常生活の過ごし方などを説明し、「保存療法」に取り組むことで、早期の改善を図ります。

変形性股関節症のさらなる進行を防止する

すでに変形性股関節症が進行してしまっている(進行期・末期)方においても、さらなる進行を防止するために保存療法を行なうことも可能です。

「手術をできるだけ先延ばしにしたい」、「手術は受けたくない」などの要望も多く、まずは保存療法により股関節の状態を見極めながら、現状に適した運動方法を指導します。一般的に股関節に良いとされている運動が必ずしもご自分の現在の状態に適しているとは限りません。自己流の運動方法で反対に悪化される方も多いです。症状が悪化しないようにご支援させていただきます。

また、股関節の動く範囲の制限により靴下の脱ぎ履きやしゃがむことが難しくなっている方、姿勢の歪みや歩き方が気になる方においても、改善を図ります。

このような方はご相談ください

  • 手術は受けたくない
  • 手術をできるだけ先延ばしにしたい
  • 家庭や仕事の事情により今はまだ手術を受けることができない
  • 変形性股関節症と言われたが、何をしたら良いか分からない
  • 骨切りの手術を過去に受けたことがある
  • 手術を受けたほうが良いと言われているが、不安や疑問がある
  • きれいに歩けない
  • 股関節に痛みはないが、足先に手が届き辛くなってきた
  • 足の長さの左右差が気になる

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保存療法の流れ

保存的治療の流れ